サテライト会場へ向かう途中、
車窓から見えた青空と芝生と川と観覧車が
確かに我々を呼んでいた。

「おーい、みんなー、こっちおいでよー」

いっそのこと観覧車からライブ配信をしようか…
そんなことをしても許されそうな穏やかな空気が
確かにそこには流れていたのだ。

ISHIFES2020は初の試みだらけ。
1つの会場に集まるのではなく
多数の会場へ出向くというスタイル、
そしてそこでライブ配信を行い
会場と参加者をオンラインでつなぐといった
今までとはまるで異なるISHIFESだ。

移動を含めて各店舗1時間。
カツカツのスケジュールだったため
移動中の車内で会長からこんな言葉が出た。

「バッファを設けなきゃいけなかったね」

バッファとは時間にゆとりを持ってすすめることらしい。
万が一ライブ配信が延びて移動が間に合わないかもしれない。
予期せぬ渋滞で遅れてしまうかもしれない。
それを踏まえて余裕のあるスケジュールを
組まなければならなかったというわけだ。
とはいうものの、そこまで大幅に遅れることもなく
ノーバッファでもなんとか終えることができた。

ISHIFESのスケジュールにはバッファはなかったが、
移動中に流れたあの穏やかな空気は紛れもなく
人生におけるバッファであったに違いない。

バッファ、
それは万が一のために用意された贅沢な時間。
バッファ、
それは無駄になるかもしれない余裕な時間。

もしかしたらこれはとんでもない言葉なのかもしれない。
ISHIFES6回目にしてついに1つの答えが出たのだから。

ISHIFESとは何か。
それは人生におけるバッファなのだ。

2020年11月15日
石田意志雄